大阪府立大学人間社会学部人間科学科森岡研究室学生レポート (2007年度)

 

カフェ・喫茶店の変遷と未来

:社会情勢に左右される居場所

魚井三紗子


 

 

はじめに

 

繁華街に行くとどこにでもスターバックスやドトール、シアトルズコーヒーなどのチェーン展開をしているコーヒーショップがあり、さまざまな種類の飲み物やケーキなどを楽しむことができます。また路地に入り、比較的人通りの少ないところに行くと小さな喫茶店やカフェを発見できるかもしれません。そこでコーヒーを片手におしゃべりをしたり新聞や本を読んだりしながら、それぞれの時間をみなさん過ごしているようです。何時間も滞在する人もいれば、数分でいそいそと出て行く人もいるし、1人の人もいれば2人3人と大勢で騒がしくしている場面も見られます。

 

ここで、私がどのように利用してきたかを述べたいと思います。小さい頃は、母や祖母に連れられて出かけたときの一休みに喫茶店に行っていた覚えがあります。そこで普段は口にできないメロンソーダやパフェを注文するのが楽しみでした。最近は、買い物に疲れたときや少し時間があるときに1人で行ったり、友人と行ったりします。チェーン展開をしているカフェによく行きますが、しかし個人経営をしているような小さなカフェに足を運びたいと思うことの方が多いです。なぜそのようなところに行きたいかと言いますと、小さなカフェの方が静かで人の目が気にならず、ゆっくりできるからです。また、インテリアにこだわっているところも多く、視覚的にも楽しめることもひとつの理由です。おしゃれなカフェを知っていることはひとつのステータスのように自分自身が感じている部分もあるからでしょうが、場面に応じてカフェを使い分けるのは重要だと思います。

今述べたように、私は一般的にカフェと呼ばれているところによく行きますが、では小さい頃に行ってきた喫茶店との違いというのは何なのでしょうか。

 

 

パリのカフェの歴史

 

 まずカフェで有名なパリを例にとってみます。

コーヒーがフランスに伝わったのは、ルイ14世への献上物として持ち込んだのがきっかけという説があります。しかし彼はあまり興味を示さなかったため、ルイ14世のいたヴェルサイユではなくパリで普及してカフェが作られ、フランスに広まったという流れです。他の説にありますが、17世紀中ごろにフランスで受容され始めました。ヴェルサイユの宮廷人など、上流階級の人間にだけでなく、一般民衆に普及した過程は欠かせません。パリでは、サン=ジェルマン=デ=プレ広場周辺に2月からおよそ2ヶ月間定期市が開かれていました。そこでは、手品や人形芝居などの見せ物などが出店していたのですが、そこに立ち飲みのカフェを開いたのです。それが人気となってパリの民衆はコーヒーを受け入れ始めました。この定期市での出店のほかにも独立したカフェを営んだものも多くいましたが、あまりうまくいきませんでした。しかし1684年に浴場施設をリフォームしてカフェ・プロコープをオープンさせました。この浴場施設にあった大きな鏡や大理石の板を活用し、じゅうたんを敷きつめて大きくて立派なカフェとして話題になりました。そこでは、近くのテニス場でにぎわったりもしましたが、コメディ・フランセーズという劇場の関係者や観客の出入りの方が多くなりました。その後は文士や哲学者たちがよく訪れるようになり、静かな雰囲気の文学カフェに変わっていきました。また時が経つと、啓蒙思想の作家や哲学者がカフェ・プロコープに通うようになり、政治の内容で白熱した論議される政治カフェになりました。カフェ・プロコープでは、コーヒーやアルコール類とともにイタリアから輸入したジェラートも人気でした。

このカフェ・プロコープに続いて、たくさんのカフェがなんらかの特徴をもち、客を呼び寄せました。ただ単にコーヒーを飲むだけではなく、チェスやトランプなどの遊戯を楽しんだりする場や人と出会い、語り、議論する場ともなりました。他にも、音楽や道化芝居などの見せ物を見せるカフェも登場し、豪華なカフェもあれば、安い居酒屋のようなカフェもありました。また、テラスを構えるカフェはパリの典型的なものとなりました。

このようにパリのカフェを見てみると、人気によって観光化された部分もありますが、政治的な議論をする場、余興を楽しむ場、情報の流通や交換の場として、カフェを構える場所や時代の情勢の変化によって少しずつ形態を変えて人々の生活と密着していることがわかります。

 

 

日本のカフェ・喫茶店の歴史

 

 17世紀末ごろ、オランダ人によって長崎の出島にもたらされたといわれています。そのときは、未知の風味が敬遠され世に広まりませんでしたが、黒船来航以来、コーヒーが認知されるようになりました。神奈川、長崎、函館、横浜などが次々に開港され、居留地には日本人による西洋料理店がいくつもありました。横浜の居留地には領事館や銀行、ホテル、飲食店が作られ、もちろんカフェやコーヒー店も開店しました。このことによって、以前よりはコーヒーが身近になりました。しかし、皆に認知されているというわけではありませんでした。一般に知られるようになったのは、1911年銀座にカフェ・プランタンやカフェ・ライオン、カフェ・パウリスタなど、パリ風のカフェが現れたことがきっかけです。カフェでは、コーヒーのほかにアルコール類や軽い食事も提供されていました。1888年には日本で最初の喫茶店、可否茶館ができました。

可否茶館は、アメリカコーヒー店を手本にしていて、私が取り上げたいものとは少し違いますが、日本国内外の新聞雑誌や、和漢洋書籍、書画を置き、酒や煙草、パンや菓子などの軽食、が取り揃えてありました。そのほかにも、ビリヤードやトランプ、碁、将棋が用意され、化粧室、シャワー室、氷店も設けられていましたが、経営は失敗に終わりました。

 フランス語で春を意味するプランタンを店名にしたカフェ・プランタンでは、コーヒー豆を経営者の松山省三自らが横浜のイタリア人経営の店に出向き、モカ、ジャバ、ブラジルを購入し、MJBとブレンドして客に出しました。コーヒーの他に、サンドウィッチやハヤシライス、ハンバーグ・ステーキなどが名物で、女給を置いていたことも有名です。また、酒類も提供しており、酔いつぶれる文人たちもいたようです。ここでは初めの半年、会員制度をとっており、画家の黒田清輝、文学者の森鴎外、永井荷風、坪内逍遥、島村抱月、政治家、役者、俳優など有名人が登録されていました。

 1920年代、カフェにかわって喫茶店の数が増減を繰り返します。東京市統計年表の「喫茶店」の数の推移を見ていくと、1898年に69店舗、1922年32店舗、1923年55店舗、1924年159店舗、1929年1073店舗、1932年2056店舗、1937年3065店舗、1938年3307店舗。喫茶店の数は大事件が起こるたびに増えているのです。1923年は関東大震災、1929年は世界恐慌が始まり、1932年は上海事変が起きて、日中戦争が1937年に始まりました。また、国家総動員法が発動された1938年にピークを迎えました。ここで、その当時のカフェですが、「洋風の設備を有し自家調理を客に供し、連続して客席にはべり、歓興するもの」と法規で決められおり、これらは風俗取締の強化によってキャバレー、サロン、社交喫茶のように名前を変えていきました。喫茶店では、カレーライスやシュークリームなどの軽食や喫茶を提供しており、喫茶店で働く女の子を目当てに訪れる客も少なくはありませんでした。また、戦後にはクラシック喫茶やジャズ喫茶などの音楽喫茶によって喫茶店ブームもおとずれました。

喫茶店が均質化され始めたのは、1960年にコーヒー豆の輸入が完全自由化され、翌年にはインスタント・コーヒーやコカ・コーラも輸入自由化されたことがきっかけとなりました。しかしその中でも付加価値を見出そうと、営業時間や店員に変化をつけて客をひきました。しかし、1980年代後半になると、喫茶店ブームは過ぎ去り、グルメブームが訪れました。その結果、喫茶店は、高級か立ち飲みというように二極化していったのです。1980年にはドトールコーヒーが1号店を出店しました。バブル期に土地の価格が高騰したため、チェーン店でも高級店でもない喫茶店は客足が遠のき、徐々に減り始めていったのです。ふたたびカフェとしてブームが訪れたのは21世紀に入ってすぐのことです。これについては現在のカフェの章で述べることにします。

 

 

カフェと喫茶店の違い

(※ここで取り上げるのは、チェーン展開をしていないカフェ、喫茶店です。)

 

 カフェや喫茶店に訪れて調査する前に、私のイメージを具体的にしておきました。

 

カフェ

開放感があり、インテリアや照明などの内装にこだわっている。

メニューが充実しており、商品の見た目がきれいで、ネーミングが変わっている。

20代ぐらいの店員が多く見られ、そっけない。

癒し系の音楽がかかっている。

 

喫茶店

インテリアはこげ茶で統一され、食器などを飾っている。
何種類もコーヒーがあり、モーニングがある。
メニューはメロンソーダ、〜フロート、ケーキは王道のものが多い。
店主がマスターと呼ばれる。

 

 

 実際に行った時の様子

 

カフェ

壁一面が白で、イスをオレンジや赤の明るい色を使ってポイントにしている。
窓が大きく光がたくさん入り、明るい。
あまり光を入れないようにして、ムーディーに演出している。
音楽は声が入っていないものや、日本語ではない曲がかっている。
店員は若い女性が多い。店員が5〜6名いる。
食器の色や形状がたくさんある。
飲み物や料理を作るところが見えるようにしているところもある。
旬の果物(マンゴー)を使ったジュースがある。
トイレが変わった造りになっている。
商品の名称が長い。商品の種類が多い。飲み物の種類が豊富。
酒類を多く取り揃えている。
メニューに工夫をこらしている。黒板にメニューを表示している。
椅子のすわり心地がよく、落ち着ける。
窓の外の眺めが良い。

喫茶店 店内は明るいが、落ち着いた雰囲気で、壁は白と茶色が基調。
いすは深い赤や青の布地で花柄。
食器(コーヒーカップ)も花柄。階段の手すりやドアのノブが金色。
照明はシンプルなものが多く、花をモチーフにしている。
サンドイッチとドリアなどの数種類で、すぐに用意できそうなもの。
ケーキは2〜3種類で、ワッフル、パフェ、かき氷なども。
定番のクリームソーダの他にはココアやミックスジュース。
客層は40〜60代の方が多い。
声が入っていないテンポがゆっくりの音楽、もしくは音楽はかかっていない。
店員が1人や2人のことが多い。夫婦で経営しているのではないか。
店内に飾られているものは店主の趣味ではないか。
カウンターがあり、常連がその前に座る。雑誌や新聞を置いている。
店の前のショーケースに見本が飾ってあるところが多い。

 

現在のカフェ・喫茶店の考察

 

カフェも喫茶店も行ったことがあるので、ほとんどイメージが同じというところもありましたが、よく観察してみると色々なことに気がつきました。

喫茶店はカフェよりも行く機会が少なかったので今回の調査をきっかけに特に細かいところに注目してきました。まず、私のイメージになかったのは、喫茶店には店の前にショーケースがあって、そこにサンドウィッチやパフェやメロンソーダのレプリカが飾ってあったことです。これは、いつもは意識していなかったのですが、その店にどんなメニューがあるのか一目瞭然で、視線がそこにむかい足を運ぶきっかけになりますと思いました。また、外装は入り口が狭く、中が見えにくいようになっていました。中に入ってみると席数は少なくて多くても30席程度でした。私は初め、入りにくいと思いましたが、中でその店の雰囲気に入ってみると居心地の良さを感じました。店内の客は、1人で新聞を読みながらコーヒーを飲んでいる人もいれば、スーツ姿の40代ぐらいの男性2人でいる場合もありました。また、1人で来てカウンターに座り、店主と会話をしている人は常連のようで、何も聞かずにコーヒーを出す店主に驚きました。こだわって食事を作っている様子はなく、「喫茶・軽食」とよく看板に書かれているように、数分でできるものが多いように思いました。それは、客が手の凝ったものを求めているのではなく、比較的早く簡単に提供できるものを求めているからではないかと考えます。実際に喫茶店にいた時に食事をしている人はいませんでしたが、極度の空腹の状態であればファーストフードなど、もっと手軽にたくさんの種類の中から選んで食事ができる所はあるので、喫茶店で食事をするという選択は少なくなるということです。

私が喫茶店で最も注目したのはカウンターです。バーにもあることが多いと思いますが、カウンターの向こうはもちろん入ることはできません。そこで店主がコーヒーを入れたり、簡単な調理をするのです。その調理をしながら客と会話をします。喫茶店にとってその客との会話が一番大事なのだと思います。客との深く長い付き合いによって、店は成り立っているのではないのでしょうか。一方、客が喫茶店に求めているものも、生理的な欲求をみたすものではなく、居心地の良さや店主の人柄であり、客は店主との会話が楽しいから通っていると考えられます。そこが喫茶店の最高の魅力だと肌で感じました。

 

さて、カフェについて触れていきます。21世紀に入ってすぐにカフェブームが起こり、趣向を凝らしたカフェが次々とでてきました。カフェは見られることを意識していて、内装、商品の見た目・ネーミング、店員の格好に気を配っています。内装は基本的にきれいに見えるように色、形ともに整えられています。中には、わざと古い倉庫の中のような内装にしているところもありますが、照明を薄暗いというか薄明るく調節して、汚いという印象は受けないようにしていました。目立つ色や珍しい形のインテリアを置いて視覚的に頭に残るような工夫もしてありました。メニューは品数が多く選ぶのに苦労しますが、それもひとつの楽しみであり、そのとき頼めなかったものがあるからもう一度来ようと思わせて、リピーターを増やすという目的もあるのでしょう。店のこだわりの品やお勧めのものをわかりやすく表示し、その店の名物を主張していました。飲み物は、単にコーヒー、ジュースだけでありません。コーヒーにキャラメルシロップやチョコレートシロップを入れたり、カプチーノのように牛乳を泡立ててコーヒーに混ぜたりしてバリエーションが豊富です。また旬や流行の果物を使ったジュースもあり、アルコール類もかなり充実していました。食べ物は、野菜をうまく利用して鮮やかに仕上げてあり、見ておいしい食べておいしいというようなものが多くありました。プロのように技術と料理の経験がないと作れないようなもので、家では味わえない価値のあるもののように思います。また、様々な形や色のお皿やグラスがあり、商品を際立たせるような食器を使っていて、そこにもこだわりが見えました。そして店内の様子で欠かせないのは店員です。ユニフォームを着用しているところもありましたが、ユニフォームはないけれど白のTシャツにジーンズというようなかたちで見栄えをよくしているお店もありました。これは店によって様々でした。見た目以外の店員の印象については、同じ店内でも様々な店員がいました。笑顔で明るく接客している人もいれば、客の時間を邪魔しないようにさりげなく接客をする人もいます。また、素っ気無く感じの良くない人もいました。直接、店の雰囲気に影響はしないのではないかと思いますが、店の人気には大いに影響しているのではないかと感じました。

 

 ここで流行に敏感な雑誌を見てみることにしました。雑誌『Hanako West』で取り上げられているのはカフェばかりで喫茶店と呼ばれる店はないように思います。カフェが流行っているのが一番の理由でしょうが、それだけなのでしょうか。

私の第一印象を一言で言うと、雑誌に載っているカフェはおしゃれだと感じました。ほんの一部分しか見えていないし、写真なので実際とは少し違うかもしれませんが、行ってみたいと思わせるような雰囲気やメニューを揃えています。インテリアを木で統一したり、カラフルしてみたりして内装に手をかけているところもあれば、紅茶の種類を豊富に取り揃えてあるカフェ、オーガニック食材を使った料理や色とりどりのケーキなど、こだわりを持っているカフェもあります。また、アボカドを使ったサラダやマンゴーを使った飲み物やケーキなど、流行りの食材を取り入れて世間のニーズに素早く対応している店もありました。どのお店をとっても個性があって魅かれる部分をたくさん持っているよう感じました。

カフェは今流行っているだけでなく、客のニーズに対応する柔軟性を持っているため、今後も注目され、しばしば雑誌にとりあげられると思います。

 

ここ数年で増えているのは、このようなカフェだけではありません。漫画喫茶やメイド喫茶も急増していて、駅前には必ずといっていいほど存在しています。特に大きな駅周辺には1店舗や2店舗だけではなく、数店舗が競いあっています。漫画喫茶は、漫画やインターネットの利用が主で、喫茶の役割が小さくカフェ・喫茶店と同じように分類することは難しいかもしれませんが、時代の流れにのってうまく喫茶を取り入れています。メイド喫茶は喫茶が主で、それに加えてメイドの格好をした店員が客にサービスをするという今までには少なかった形態の喫茶店も人気をよんでいます。また、健康ブームでサプリメントなどの健康食品や運動器具などが売れていますが、カフェもその影響を受けています。カフェのメニューの中に有機野菜や無農薬といった表示がされるようになりました。流行に敏感に反応して、農薬を使っていないということを消費者に伝え、それを店の特徴にしています。

 

 

今後のカフェ・喫茶店のあり方

 

今述べてきたように、カフェと喫茶店は同じような部分もありますが、よく見てみると違う部分が多くあります。ここではこれからのカフェ・喫茶店について考えていきます。

まず、現代人は人とのつながりを嫌って避けているように振る舞っているかもしれませんが、本当は人とのつながりを求めているのです。だから外に出かけてカフェや喫茶店に足をむけるのです。もしそうでなければ、家に閉じこもっているのではないでしょうか。どのようなつながりを求めているそれぞれだと思いますが、そういう場所が求められている以上、カフェや喫茶店は存在し続けなければなりません。しかし、カフェも喫茶店も、もしこのままの状態で変化をしなければどんどん存在が薄くなってしまうと私は考えます。カフェ・喫茶店の歴史から、人はいつも変化を求めているのではないかと感じました。カフェでコーヒーを片手に論議するだけでは物足りなくなっているのです。コーヒーを飲むだけではなく、チェスなどのゲームや余興や音楽を組み込んでより楽しく、より充実した時間にしようと変化しています。すべてがうまくいったというわけではないかもしれませんが、今まであったものに新しい刺激を加えたことによって、人気を得てきたことは間違いありません。

喫茶店でカウンター越しに店主と客が会話を楽しむということはとても素晴らしいことだと思いますが、それだけで喫茶店を盛り上げるのは困難だと思います。やはり流行にあわせた変化も必要です。たとえば、あまりにも遠い喫茶店に通う人は少ないと思うので、近隣住民の方にもっと知ってもらう計画を立てます。特に若者に知ってもらうためホームページを作り、インテリアを少し変えてゆったりくつろげる椅子をカウンターの前に置いてみるのもいいのではないかと考えます。カウンターの前に置くことによって自然に店主と会話できるようになり、常連になる可能性が高くなります。近所の喫茶店に通っているうちに店主に自分の悩みを打ち明けるようになる友人のような関係築けるかもしれません。また、パリのカフェのように余興をしてみても注目を浴びるでしょう。たとえば店主がマジックを習得してそれを披露されたら、その店主に魅力を感じ、その店に通いつめるきっかけとなるかもしれません。これらのように喫茶店独自の形を残しつつ変化すれば喫茶店がにぎわいを取り戻すのではないでしょうか。

喫茶店が残していくべきところを大事に守りながら変化していくのに対して、カフェはこれからも今まで変化してきたように変わり続けていくべきです。時代を追いかけて流行に敏感に反応してどんどん挑戦するのがカフェにとっては最適なのではないかと考えます。カフェブームが再来してから数年しか経っていませんが、流行に上手くのって、たくさんの人に注目され続ければカフェの人気は落ちないと思います。その中で常連を獲得するのが必要となってきます。来店者数が多ければ、それだけ多くの人たちがその店を評価し、評判がよければ来店者数がまた増えます。悪い評判が流れれば一気にその店には客足が遠のきます。常連がいるということは、その店になんらかの魅力があるわけですが、その数が多ければその店の評判は良いということになります。ですからカフェは常連をつくるということにも少し目を向けるべきです。

カフェと喫茶店は相違点がありましたが、どちらも人と接する機会が多い場所ですので、客の反応を予想して、実際に見て観察するといったことが大切であると私は考えます。客が充実した時間を過ごせるように配慮するのがカフェ・喫茶店の条件だと思います。カフェも喫茶店も進む方向が違うので、客に対する表れ方も異なると思いますが、私の考えでは、カフェと喫茶店はそれぞれの役割を持って、またそれぞれが足りないところを補い合って今後も共存し続けるでしょう。またそうであることを願っています。

 

最後に

 

私は今までカフェで落ち着いて1人の時間を楽しむことが必要だと思って頻繁に行っていましたが、今回の調査を通じて深い人間関係が築ける喫茶店の良さを実感しました。訪れた店のほとんどに常連客がいたのです。他のファーストフード店やチェーン展開をしている店にはないもので、カフェでもめったに見ることのできない光景です。カフェに1人で行く人は本を読んだり、携帯電話を見ていたりして、自分1人の時間を楽しんでいる人が多く見られます。また1人でない人も友人との会話に熱心で、店員の存在など忘れてしまっています。実際に行った店の店員の顔を覚えている人がいるでしょうか。私はほとんど覚えていません。印象に残った接客をされた場合に覚えている場合もありますが、わざわざその人に会いに行くことはありませんでした。カフェに行ったことのある人の多くはそう思うのではないでしょうか。今回はできませんでしたが、実際に「カフェの店員の顔を覚えていますか」などアンケートをとって調べてみるのもいいのではないかと思っています。今後機会があれば試してみようと思います。

 

 

 

参考資料

渡辺敦『カフェ ユニークな文化の場所』1995年

林哲夫『喫茶店の時代』2002年

安井道雄『パリのカフェで』2001年

沼田元氣『喫茶遺産』2002年

雑誌『Hanako West』2007年6月号

現在の「カフェ」ブームとはなにか http://www.food-pac.com/bunken/bunken014.html

 

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