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作成:森岡正博 
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中村哲氏のコメント

 

12月5日の講演会の最後に行われたQ&A (一参加者のメモ)

Q: カブール解放後、テレビではアフガニスタンの人々の嬉しそうな表情ばかり流れ
ているが
人々は本当に解放されたのか。

A: 住民は旗をいくつか用意している。北部同盟が来れば北部同盟の旗を振り、
タリバンが来ればタリバンの旗を振る。そうしなければ生きていけないから。
日中戦争のときと同じ。
テレビは解放前でも見ることはできた。凧揚げもやってた。野菜も市場には並んでい
た。
隠れ女学校もあり、タリバンは黙認していた。
解放されたのは、「無秩序」。そのせいで、物資の輸送が滞っている。
あちこちで略奪暴行が行われ、全ての国連事務所、海外団体の事務所は
からっぽになるまで襲われた。(ペシャワール会は無事)
アフガニスタンの人々は、食べ物と水があって、家族が一緒に暮らせること、
これ以上を望んでいる人は殆どいない。皆平和的解決を望んでいる。
アメリカはテロ撲滅の名目で爆撃を行っているが、
この爆撃によって、テロリストが増えることになる。
後のテロリストになるのは、今爆撃の中でお腹をすかして逃げ回っている子どもたち
だ。

Q: アフガンの人々は自衛隊の派遣を望んでいるのか。

A: 現地では歓迎されていない。アフガンの人々には、反米英感情はあっても
仏教国である日本にはそのような感情がない。
日本は今までイスラムを敵にしたことがない。
自衛隊の派遣は有害無益。対日感情が変わってしまう。
難民キャンプの設立に自衛隊はいらない。これは民間団体のやること。
「日本軍」がわざわざ来てやることではない。
アフガン人の中には、日本の評判を落とすためのアメリカの陰謀だ、という人さえい
る。

Q: 水不足は深刻化しているか。

A: アフガニスタンだけでなく、パキスタンでも井戸の水位が下がっている。
(地球温暖化が原因で雪が減っている)
あの辺一帯が砂漠化する恐れがある。これは戦争より怖いことだ。
居住空間が失われ、政治的混乱が起こる。
戦争なんかやってないで、この問題に取り組むことの方がはるかに重要。

Q: わたしたち一般市民にできることは何か。

A: 自分のおかれた場所でできることをすればいい。
今日聞いた話を心の中に留めておいて、まわりの人に伝えていくこと
でもいいし、お金があれば寄付することでもいい。
あまりお勧めはできないが、テロリストになることも。(笑)
人間と自然との関係について考え、
現実に起きている事態は何かを想像力を掻き立てて考えることが大事。
今起きていることは「終わりの始まり」だと思う。
若い人たちが後片付けをしなくてはならない。

Q: アフガンの一般市民の非イスラムへの感情はどういうものか。

A: はっきりいって、イスラム側の方が心が広い。
キリスト教徒である中村先生に説教をさせてくれる。
邪魔されない限りは邪魔はしない。
イスラム教徒をキリスト教徒に改宗させようとすれば取り締まるが
そうでなければ排除することはない。
歴史的に見れば、十字軍(=反イスラム)が西欧社会を形成した根っこになっている。
今のキリスト教は「ヨーロッパ系のキリスト教」だ。
(サンタクロースやトナカイなどを見ればわかる)
むしろ原始キリスト教に近いのは、イスラム教の方でははいか。
(キリスト生誕の話など?厩で生まれた話)
一般に認識されているキリスト教は西欧のキリスト教であり
そこからは反イスラムは拭いきれない。
だから日本人までもそういう感情をもってしまう。

本当の事は何教徒が言っても同じ。
仏教徒の人は仏教の言葉で、キリスト教徒の人はキリスト教の言葉で、
イスラム教徒の人はイスラム教の言葉で語る。
ただ言葉が違うだけで、言っていることは同じ。

飢餓に瀕して明日死ぬかもしれない、というような状況で暮らしていても
現地の子どもたちの表情はとても明るい。
持てば持つほど人間は顔が暗くなる。
日本人の方が暗い顔をしている。

今まで20年近くアフガニスタンに関わってた中で、
人間にとって何が大切か、何を捨ててはいけないか
が分かった。だから良かった。

 

*講演会に行かれた方のメモです。著作権上の問題点がありましたら削除いたします。ご連絡ください。