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天翔け地這う 第6巻  人類はどこへ行くのか・サンプル

 

プロローグ
 突然、地球に異変が起きた。それは世界の終わりの始まりだった。だがそのことに誰もが気付かなかった。
「天の組織」の規模縮小にともなう地球支部廃止を機に、ヨウとミサにはひとたび地上に戻ることも選択肢としてあった。だが、そのまま留まって地球の見守りをつづけ、地球(人類)の 情況を報告する道を選び、「永遠の命」を与えられたのだった。
 ヨウとミサには「永遠の命」のほかにタイムスリップや瞬間移動の技が与えられ、ふたりともそれらを自由に駆使することができた。このほかにもいくつかの特殊機能や超能力が備わっ ているのだ。
 こうしてふたりはいつでもどこへでも時間と空間を超えて自由に移動していた。宇宙の時間や空間ばかりではない。たとえば人間の体内にも潜り込めることが可能だった。
 ふたりは地球の異変に気付き、それを探りながら、人類の生き残りを探ぐる旅(「終わりなき物語」)をはじめる。
「終わりなき物語」は「天の組織」から永遠の命を与えられたヨウとミサが過去を振り返りながら、人類の未来を探る「果てしない旅」の報告である。
 なお、この旅(「終わりなき物語」)については、『天翔け地 這う』の最終巻第五巻(ウエブサイト「キノコプレス」から公刊(電子版)(二〇一四 一 一))のエピローグで予告した。 この予告はこれからはじめる「終わりなき物語」の序章といっ てもいいものなので、プロローグの一部として、以下にその全文を再録しておこう。


「終わりなき物語」の予告(二〇一四)
『天翔け地這う』は非意図的生成物である化学物質「ダイオキ シン」をめぐる話からはじまる。
 人類はいま、「ダイオキシン」汚染のような現代科学技術文明がもたらす全く意図しない事象の出現に悩まされている。
 二〇世紀後半以降、現代科学技術文明が巨大化高度化大量化の高次段階にいたるにしたがい、ますますこのような非意図的生成物現象も巨大化高度化大量化し、ついに、人類は絶滅の危 機に直面させられるまでになっている。科学技術文明の主人であるはずの人類が、自らの利益を求めて推し進めてきた現代科学技術文明の巨大化高度化大量化によって滅ぼされようとしているのである。
 二一世紀に入って、「ダイオキシン」問題と同じようなのような事象がつぎつぎと人類を襲い、人類はにっちもさっちもいかない状況に追い込まれていった。そして人類はついに絶滅の危機に直面していたのだ。
 人類絶滅の危機的状況は、日本でも顕著に現われていたにも拘わらず、これには一切目もくれず、経済成長一点張りで、なぜか、政治や行政はもちろん、人びと(社会)もこれに対する反応は鈍かった。
 毎年台風にも見舞われる地震国日本では、人びとはともすれば地震や台風といった自然災害に目を奪われがちだった。たとえ夏に猛烈な熱波に見舞われ、熱中症に戦慄こうと、冬の寒波に地球温暖化の危機をすっかり忘れてしまうのだ。
 こんなふうで、日本では現代科学技術文明がもたらす非意図的生成物や副作用への関心がいまいちの状況にあったのかもしれない。ことに、多くの人びとは自らの利益のためにつくりだされたものに対しては一切信じて疑わず、ひたすら信奉するのみといった生活態度だった。これは長年天候に支配されつづけた農耕民族のDNAのなせる業か。
 このような状況のもとでも、ヨウとミサ(「天の組織」から永遠の命を与えられた耀と未佐)は人類絶滅の危機への対応をいろいろ試みる。だが、現代科学技術文明にとっぷりつかった人びとは現代科学技術文明のもたらす見かけの「美酒」に酔い痴れ、まるで水から熱湯になる鍋のなかの「茹で蛙」のように忍び寄る人類絶滅の危機に気付こうとしなかったのだ。

 

 

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(続く)

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