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厚生科学審議会先端医療技術評議部会の報告

pudding  4月28日(金)



     厚生科学審議会先端医療技術評議部会が、厚生省特別第一会議室で14時から16時まで行われ、傍聴してきました。
     結論から言うと、今日出る予定だった「ヒト組織の利用」の指針(ガイドライン)は、
     次回に継続審議となり、今日は指針は出ませんでした。

     今日の議題
     議事1「遺伝子解析研究に付随する倫理問題に対応するための指針(案)」について
     〃 2「組織バンク事業を通じたヒト組織の移植等への利用のあり方について(案)」について
     〃 3「千葉大学医学部付属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画(食道がん)について

     入室と同時に受け取った資料集とは別に、議事に入る直前、
      「脳死状態の者等からの組織の摘出の取り扱いについて(要望書)」
     という1枚のペーパーをもらいました。要望した人は、全員、衆議院議員で、金田誠一、
     北村哲男、海江田万里、枝野幸男、山本孝史の各氏でした。

     要望書では、
      問題点(要旨)
       1、まだ7例の臓器移植の事例の検証が行われていない。現在のドナーカード
         は組織についての同意の記載が欠落しており、家族の同意のみで組織提供
         が行われていることは、「ドナーの意思表示を原則とする主義」に反する。
       2、行政指針ではなく、立法府によって法的に体系づける必要がある。
       3、「ヒト組織の移植等へのあり方に関する専門委員会」は限定的な公開しか
         されていない。
       4、具体的要望 指針を拙速に了承することがないよう、以下を求める。 
         (1)全く行ってこなかった参考人等からの意見聴取を行うこと
         (2)充分にパブリックコメントを再度とること
         (3)臓器移植法制定時の立法趣旨、立法意思を十分に踏まえた議論のもとに
            結論を得ること
         (4)立法府での法律見直しの議論に配慮すること            


「組織バンク事業を通じたヒト組織の移植等への利用のあり方について(案)」の要旨

     1、現状
      ヒト組織(皮膚・骨・靭帯・心臓弁・血管・鼓膜・耳小骨等)は、現在医療機関の組織
     バンク事業を通じて、事実上、移植のために利用されている。これに伴い、倫理的妥当性
     や、規制、条件が必要である。
      本報告書案では、ヒト組織の移植利用、および、移植に適さない組織についての研究・
     研修(移植医の)を可能とする。

     2、今後
     ヒト組織の対象を拡大し、臓器・組織由来のヒト細胞の移植等への利用についても行われる
     ことが望ましい。また、今後ヒト組織の利用は移植のみならず、研究・開発を通して大きな
     展開が予想される。民間企業の参入が予想され、産業応用につながる場合、生じる利益の
     適正な社会への還元を考慮すること。ドナーは組織バンクから財産上の対価をもらっては
     ならない。また、法的枠組みの構築の可能性も視野に入れた検討が望まれる。

     3、提供意思の確認
     ヒト組織の提供は、生体の場合ドナー本人、死後の提供である場合には遺族の自由意思に
     基づく(本人が生前に拒否の意思を表示していた時には家族の同意がっても採取できない)。
     生体の場合で、ドナーが未成年又は医師の医学的判断に基づきドナー本人が同意能力を欠い
     ていると判断される場合で、
      未成年の場合は親権者、成人の場合には法定代理人が代諾する。
      可能な限りドナー本人に対しても説明が行われ、ヒト組織の提供についてドナーが
       明示的な拒否の意思を表示していないこと。

     4、なお、死体とは、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する「脳死した者の身体」
     を含む。

                     *

     おおまかにポイントと思われるところだけ。ちゃんと確認したい方は、厚生省の
     大臣官房厚生科学課から報告書案をもらってください。


4月28日の「ヒト組織の移植等」の審議会のメモです。
     記録は私個人のメモをもとに起こしており、発言内容は要約になりますことを
     お断りいたします。

     1、報告書案
     委員)この報告書案は、臓器移植についての議論がある最中でどうしても出さなければならない
        ものなのか?専門委員会としてはどう思うか?

     専門委員会)現場がバラバラなので、今の時点で方向性を出したいのでできるだけ早くやりたい。
        ただ私個人の意見ではない。私は現場の声をまとめて、上に上げるだけだ。

     2、情報公開
     委員)5名の議員の要望書に「『ヒト組織の移植等へのあり方に関する専門委員会』は限定的
        な公開」と指摘された。専門委員会の傍聴人数などの記録を見せて欲しい。
        私も厚生省のHPを見ているが、インターネットでの公開状況は十分とは言えなかった
        のではないかと思う。

     厚) 「ヒト組織専門委員会」の傍聴や、インターネットでの公開はこの審議会と同じ手続き
        でやった。傍聴人数が一人か百人だったかで公開性を判断されては困る。

     委員)「限定的な公開」ではなく「全面的公開」をやったのであれば、議員に抗議しなけれ
        ばならないのでは?

     厚) …。

     3、組織採取する医者と移植医
     委員)現状では、組織を採取する医者と移植医が同一人物であることが多いと思うが?

     専門委員会)そういう現場にはそれはやってはいけないと私は言いたい。組織バンクは、
        同一病院内の別組織。組織バンク事業の移植がはじまったら、組織採取する人と
        移植する人が同じではいけない。臓器移植の関係もある。

     委員)「ヒト組織の移植等」の「等」とは?
        
     専門委員会)組織の移植と、使わなかった組織をドナーの同意がある場合に組織バ
        ンクの移植医の研修に使用すること。今のところは。

     委員)組織とは?

     専門委員会)組織について、臓器よりニーズが高く、どの組織が必要だと限定することは
        できない。ほとんど。たくさんいる。

     委員)なぜ今「脳死」についてやるのか。(いや、いい。)
         
     議長)また次回も引き続きやる、ということで。

                       *

     審議は15時05分くらいから16時まで。私の記憶では「ドナーの意思表示を原則とする
     主義」など5議員の具体的要望(1)〜(4)に関し、つっこんだ意見交換は行われなかった
     ように思います。



以上